藁の楯

「武器を持たず、訓練も受けていない一般の市民より、

武器を持ち、訓練された警察官の方が余程危険だ。」

「どんなやり方も全て間違っている。」


善と悪。

それを隔てる判断の規準に、人はどれだけ確信を持ち得るだろうか。

絶対に正しいと信じている規準を、極限の状態においてどれだけ保ち得るだろうか。

一人の人間の確信というものは、実に脆いものだ。

一時の感情によって、理性による規準は如何様にもぶれる。

ならば、「感情」よりも「職務」の規準こそ正しいのか。

ならば、「個」よりも「公」の規準こそ絶対なのか。

真っ当な外見を纏った暴走こそ余程恐ろしい。

善とは何か。

悪とは何か。

価値観の根底を大きく揺さぶられる作品だった。

どこか乾いた印象のある映像の中で、

厳選された役者同士の迫真のぶつかり合いが、

実に見応えがあった。