舟を編む

「言葉を知りたいということは、人とつながりたいということだ。」


たとえこの先、技術の進歩により「紙の辞書」が無くなろうとも、

言葉は決して無くならない。

言葉が無くならない限り、この先も辞書を作るということ、

即ち「舟を編む」という営みは続いていくことだろう。

西岡が辞書編集部を去るシーンが印象的だった。

地味で暗い編集部は、およそ西岡の性格とは相入れないものだったのだろう。

それでも、その場所を去る時に涙を流した西岡。

世に数多ある仕事の中で、どれが本当に自分の天職かなどは容易にわからない。

ただ、いざその場所を去るとなった時、本気で涙を流せるとしたら、

それはきっと、その仕事をやって良かったということだろう。

改めて「仕事」とは何かという事を考えさせられた。

十年以上の歳月をかけて、一つのものを生み出す。

それもまた、尊い仕事の在り方だ。