草原の椅子

「どんなに理屈が通っていても、人情の無いものは正義じゃない。」

「誰にでも心の中の草原に、それぞれの椅子がある。」

「正しい事を繰り返しなさい。」

「いろんな事を難しくしているのは、自分自身だ。」


自分の中には、どんな星があるのか。

これまでの自分の生き方は、正しかったのか。

ある程度の人生を経た後でそれを知るという事は、実に怖いことだ。

これまでの全てが否定される可能性もある。

それでも、それを知らないまま死ぬよりは、余程いいのかもしれない。

子供にしろ、自然にしろ、

無垢なものに相対した時、人はその中に自分自身を見るのだろう。

相手が無垢であればあるほど、まざまざと自分というものが浮き彫りになるのかも知れない。

人生に行き詰まった時、

それでもその先に道がある事を信じさせてくれる様な作品だった。


無性に宮本輝の小説が読みたくなった。