脳男

人間を暴走させるものが「感情」であるならば、

その暴走を止めるのもまた「感情」である。

感情の欠落とは、自分自身を制御出来ない、

言わば無限地獄の様なものかもしれない。

ただ先生という彼女は、何を意図して、彼に弟を殺した犯人の話をしたのか。

感情に任せた暴走では、人間は救われない。

だからこそ犯人に「ルール」に法った更正を施し、自分自身も救済したと納得させていた。

それでも、感情を喪失した彼にその話をする事で、

無意識であっても、心の奥底ではこの結末を期待していたのではないか。

人の感情とは、どんなに理屈で装ってもごまかし切れないものがある。

相手の感情喪失を利用して、

自身の感情的欲望を果たそうと企図していたとしたら、それの方が余程恐ろしい。

人間の奥底にある「感情」の本質を突いた、

実は深いテーマ性のある作品だった。