ボブ・マーリー

「俺は白人側でも黒人側でもない。神の側だ。

白人と黒人から俺を作ったのは神だから。」

「自分だけの命なら、俺はいらない。」

「俺に野心はない。

ただ一つ叶えたいのは、人類が共に生きること。

白人も黒人も中国人も共に。それだけだ。」



白人と黒人のハーフとして生まれた若き日のボブは、自分のアイデンティティに悩み苦しむ。

それゆえに、ラスタと出会い、自分のアイデンティティを見出だしたことで、

それまでの葛藤の反作用として、一気に才能が開花したのだろう。


やがて成功をおさめる中で、彼は否応なく、政治闘争に巻き込まれてゆく。

強大な影響力を手にしたボブが自由であることを、周囲が許さなかったのだろう。

それでも彼はその運命から逃げずに、受け入れ、彼なりのメッセージを発信していく。


それぞれの国には、あらゆる権力を超越し、国民の尊敬を集め、象徴になる存在がいる。

日本の天皇か、イギリスの女王か、

中国の孫文か、インドのガンジーか。

ジャマイカにおけるボブ・マーリーは、その存在に音楽・レゲエによってなった。

音楽にこれほどの力があったのかと、改めて気付かされる。

国のトップは選挙で選べても、ボブ・マーリーを選挙で生み出すことは出来ない。

ボブ・マーリーという「伝説」がいかにして生まれ、

何を成し、何を残したか。

音楽によって世界を一つにしたその生き様を目の当たりにした。