日輪の遺産

「任務が完了したら、全員にこの薬を飲ませよ」

この言葉を聞いた時、正直ぞっとした。

そこには、紛れも無く、人命を道具と見なした響きがあったからだ。



歴史を学べと人は言う。

戦争を忘れるなと人は言う。

だとすれば、一体何にたどり着けば、ゴールなのか。

戦争を知れば知るほど、無数の要素の、複雑な絡まりに焦点を失ってしまう。

当時の指導者の過ちを責めれば済むのか、悲惨な犠牲に涙すれば済むのか。

おそらくそこに、わかりやすい答えを求めてはいけないように思う。

ただ一つ、悲劇を招いた本質としてあまりにも「人命軽視」があったのではないか。

自分の意思に反した死のみならず、意思自体を作り替えられた死を含めて。



映画に戻る。

一見蛇足のようにも感じるラスト30分が秀逸だった。

悲劇の結末で終わってしまえばそれまでだが、そこからの展開。

特に、小泉大尉とマッカーサーのやり取りはグッときた。

話自体はフィクションだろう。

物語で楽しませ、かつ見た者に考えさせる。

やられた。