さまよう刃

「復讐」とは誰のためのものなのか?

死んだ人間のため?

いや違う。

やはり残された人間のためにある。

だから仮に死んだ人間の気持ちを推し量れたところで終われない。

寺尾聡扮する父親は、その是非はともかく復讐をありきで動いていく。

だからこそ観る側は、一歩進んだ所で問題を捉らえ考える事ができる。

ラストの言葉が印象的だった。

「復讐」というものが目指すものは、決して「死」という形ではない。

それは、加害者に対して「後悔」という感情を植え付けることなのかも知れない。

それがなければ、死をもってなお、復讐は完遂しないだろう。



全編を通して、実に重心の低い映画だった。

最後まで見ても決して救われるものではない。

映画は観る人間を選ぶべきではないと思う。

ただ観るべき人間がいるとしたら、しっかりと届いて欲しいと思う。