沈まぬ太陽

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この作品が観る者に対して痛烈に訴えかけてくるもの

それは、「背負う」ことの意味。

もっと言うなら、「背負い続けて生きる」ことの意味。


よく耳にする言葉に「生きる意味」というものがある。

突き詰めて考えれば、「生きる」という事はシンプルだ。

衣食住が満たされ、そのために必要な幾ばくかのお金があれば、

生きていくことは出来る。



ただ、本作の主人公でもある恩地元は、実に多くのものを背負いながら生きている。

それは、仕事であり、会社であり、家族であり、そして人の命であり…

時に翻弄され、時に辛酸をなめ、

それでも「背負う」ことを辞めない。

その姿に思わず「なぜ?」という言葉が浮かんでしまう。

ここまでの仕打ちをする会社になぜ留まろうとするのか?

ここにいなくても「生きる」事なら出来るのではないか?


人生が天秤で釣り合っているとしたら、

背負うべきものの対極に位置しているものは何か?

夢、生き甲斐、喜び、愛、責任…

その釣り合いが取れているのであれば、背負いながら生きていくことは出来る。

ただ、常に釣り合いが取れるとは限らない。

それでも「背負う」事を辞めない人たちに中には、

数字、計算、理屈、損得などでは推し量れない「何か」があるように思えてならない。


人はなぜ「背負う」のか?

背負いたいから背負うのか?

背負わざるを得ないから背負うのか?

そして、背負い続ける意味とは?

いつか自分にも背負い続けるための「何か」が見つかるのだろうか?


運命を投げ出さない人々の姿に、様々なことを考えさせられた。



本作は3時間を超える大作にも関わらず、全くその長さを感じさせません。

息子と二人で牛丼を食べる場面がありますが、

牛丼をかき込む謙さんの姿にいろんなものが凝縮されているような気がしてグッときました。