旅立ち~足寄より~

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ふるさとを大事にするってことは、自分を大事にするってことだ



「歌で人を黙らせる」

それはなかなか出来ることじゃない。

ただ単に歌がお上手というだけでは、決してできない。

松山千春は、間違いなくそれが出来る歌い手の一人だ。


そんな松山千春の自伝をもとにしたのがこの作品。


人は、とかく旅立ちたがる。


「新しい世界」「新たなるステージ」

足寄から札幌へ、札幌から東京へ…


そうやって進んでいくことが美徳とされ、

それを成し遂げたものに、周りは賞賛の拍手を送る。


そんな価値観の中で、この作品を見ると、

見失いがちな何かに気づかせてくれるような気がする。

「俺は足寄で歌い続ける」

謙遜でも、僻みでもなく、真正面からそう言い切る千春の姿は、

間違いなくかっこよかった。


今いる場所を、憧れの場所よりも輝かせるためには、

確かな自信と信念が必要だ。

なかなか言えることじゃない。



作品中で名曲を使うこと。

これは、はっきり言って両刃の剣だ。

ましてやそれが既に知名度もあり、名曲として評価が定まっているものならなおさらだ。

感動できる曲だから、これを流せば感動するだろうと思って安易に使うと痛い目にあう。

曲が言い分、下手な映像では、対比においてそれが際立ってしまう。

さらに曲に対する期待感が高まっている以上、ハードルも高くなる。


してこの作品はどうだったか?

松山千春の歌が素晴らしいことは既に万人が認めるところなのだから。

結論から言うと、よかった。

特に「大空と大地の中で」のシーンは、相当のこだわりがあったんじゃないか。

「この流れということは、もしやここで?」

と思わせたところで、ドンピシャで曲が始まり、

歌詞に沿って映像が流れていき、サビのところで…

あとから振り返ると、くさいかなと思うかもせれないが、

やっぱりストライクは、心地がいいものだ。


間違いなく、松山千春の歌を聴きたくなる一本だった。


今年は、結構打率がいいです。



人生はゲームだ。今いる現状がルールであり、

ゲームに負けないということは、死なないということだ。