おくりびと

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休日の映画の日をなめてました。

半端ない人の数です。でも、何とか今日中に見たい!



結局、亀有まで行って見てきました。



「評判に異論なし」素晴らしい作品でした。

まずは、冒頭いきなりの納棺シーン。

何のことかよく分からないまま、目の前に映し出される所作。

美しく華麗で、洗練されて無駄がない。

「納棺」というあまり馴染みのない儀式が、

これほどまでに美しいのかと、しばし圧倒される。

正直、このシーンだけでも見るに値するものだし、

冒頭にこのシーンがあっただけに、どこかゆとりを持って映画の世界に入ってゆける。


もし、この作品の魅力を3点あげるとするなら

「意外性」「普遍性」「必然性」だろうか。


まず意外性ということからすれば、

これほどまでに笑える作品とは予想していなかった。

随所にちりばめられた思わず吹き出してしまうようなシーンの数々。

「どれだけ見ているものの感情を揺さぶったか」が

映画の価値を決めるものだとしたら、

前半部のこの笑いの要素があったからこそ、

後半部の核心部分がより生きてくる。

最初からしんみりしていたら、きっともっと平坦なものになったはず。


次に「普遍性」という点についていえば、

もちろんこのテーマ。

「死」とは当然誰の身にも訪れるもの。

しかし、そんな普遍的なものでありながら、実はよくわかっていない。

さらに伝わってくるメッセージは、単純に生死の問題に限らない。

家族とは何か、親とは何か、夢とは何か

中でも意外性を伴って印象的だったのは、

「仕事とは何か」ということを考えさせられたことだった。

妻に出ていかれ、一人パンをかじりながら、遺体の待つ仕事場へ向かう。

あのシーンは妙に印象に残っている。


最後に「必然性」

何か画面上に出てくるもの全てがきれいに一本の線になってつながっているような気がした。

なぜ、前職がチェロ奏者だったのか?

なぜ、舞台が東北の山形だったのか?

一見すると、他のものに代替できそうで決してできない。

特に「チェロ」というのが、本作の大きなポイントのように思えた。



とにかくメッセージ性もあるし、映画としても面白い。

中盤の、チェロの音にのって

淡々と時が流れていくシーンでは、

特に何らかの台詞がある訳ではないのに

画面を見ているだけで、涙が溢れてきた。


また「石ぶみ」の件、

実に小山薫堂さんらしいエピソードでした。


再上演してくれてよかった。