魂の共鳴~長渕剛ライブにて~その2

ついにその姿を現した“長渕剛

彼はすぐにステージに向かわず、客席の一歩手前で足を止めた。

一点集中、一気に迫り来る観衆の熱気に何ら怯むことなく、

彼は、会場の隅から隅までゆっくりと目線を走らせた。

「お前ら、一体どうなんだ?」

それはまさに、今日ここに集まった観客を値踏みするかのように。

その様子を見た時に、悟った。

「俺たちは単なる“お客さん”ではいられないんだ」


客が長渕に何を見せてくれるんだと期待していると同様に、

長渕は客にどう応えてくれるんだと期待しているんだ。

俺は、気合を込め、ギアを入れなおした。


「Come on Stand up,Boy!」

ツアータイトル曲と同時に、いよいよライブは幕を開けた。

エネルギーが膨れ上がり、爆発寸前だった核爆弾は、

ついに現れた最高の導火線に点火され、一気に炎を吹き上げた。