コーダ あいのうた

「屁が臭いのは、

聾唖者も臭いを楽しめる為だ。」

「全てを捨てて誰かを愛する気持ちを歌え。」

「君に声をかけたのは、可能性があるからだ。」

「私が盲目なら、絵を描いていたかも。」

「家族が笑われる気持ち分かる?」

「挑戦を怖れる生徒に教えた所で無駄だ。」

「家族抜きで行動した事が無いんです。」

「駄目な母親なのは、耳のせいじゃない。」

「家族が笑われても卑屈になるな。

俺達は無力じゃない。」

「お前が生まれるまでは、家族は平和だった。」

「どうせ追い出すなら、家族で見届けなきゃ。」

 

生まれた時から、

家族に縛られる事を

運命付けられた人生。

決して楽な筈は無い。

助ける方も苦しいが、

助けられる方も苦しい。

ただ困難を補って余りある

愛に満ち溢れていた。

夢と家族の双方に

全力で向き合う姿に心打たれた。

演奏中に一切の音が消える場面。

聾唖の方の捉えている世界を垣間見た。

彼等は正に眼で音楽を聴いている。

全てを視覚情報に依拠しているからこそ、

表情の豊かさが生まれるのだろう。