『血の味』

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寒さは嫌いではなかった。

とくに耳たぶに針が突き刺さってくるような寒さの中を歩くのは好きだった。

寒さが氷の鎧となって、さまざまに湧き起こってくる思いを体の中に閉じ込めてくれる。

なんだか、寒さが夢の密度を濃くしてくれるような気がするのだ。

暗ければ暗いほど、寒ければ寒いほど、歩きながら見る夢は深くなっていく。

―――『血の味』 P148 沢木耕太郎

きれいな文章ですよね。

今年もいろんな本を読んだ。

まだまだ、出会うべき本はたくさんあるんだろう…

来年は、どんな出会いがあるんだろうなぁ。