あいあい傘

「人間、心持ちよ。一生懸命働いていれば、人生良い事がある。」

「こういう時、割を食うのは必ず秘書だ。」

「それが出来るんなら、どうしてうちらとしてくれなかったの?」

「あっちの家族の幸せは、こっちの親子の不幸せの上に成り立っている。

それを理解して生きていくべきだ。」

「他人の様な父親ならいなかった方が良かったのか?」

「縁。こうして出会ったのには、必然がある。」

「みんないろんな事情を抱えて生きている。子供を忘れられる親が何処にいる?」

「結婚は、雨の中をあいあい傘をさして歩く様なもの。

雨が激しくなればなるほど、くっついて歩かなきゃならない。決して楽しいだけじゃない。」

「何も聞かず、何も言わず、ただ受け入れてくれてありがとう。」


人と人とのつながりは、血や法だけじゃない。

それにも勝る強い想いがつなげている。

今の幸せの為に自分の想いに蓋をするのも、

今の幸せを失っても相手の想いを願うのも、

双方が思いやる家族の証だ。

久しぶりの再会が全て感動とはいかない。

幸せそうな父の姿に、露骨に腹を立てるのは面白い。

ただ互いの想いに気付き、それを交錯させながら対峙する場面では涙が溢れた。

「あいあい傘」に込められた意味にも、心打たれるものがあった。

また地方の町の祭が醸し出すノスタルジックな雰囲気も味わえて良かった。