この世界の片隅に

「みんなで笑って暮らせたらいいのに。」

「戦争になっても、蝉は鳴き、蝶は飛ぶ。」

「当たり前の事に怒って、当たり前の事に謝る。俺はいつから当たり前からズレたんだろう。」

「お前はこの世界で笑って、普通でいてくれ。」

「この世界にそうそう人の居場所はなくなりゃせんよ。」

「いがんでる。左手で描いた絵みたいに。」

「何でも使って生きていく。それがうちらの戦いだ。」

「ありがとう。この世界の片隅にうちを見つけてくれて。」


当たり前に笑って、当たり前に怒って、

当たり前に食べて、当たり前に暮らす。

そんな当たり前が尊く感じたら、世界が当たり前ではなくなった証だ。

その逆に、かつて大事だった事が当たり前になっていく。

当たり前や普通といった感覚が大きく覆されるのが、まさに戦争なのだろう。

その中では、普通という感覚を保っていく事も難しい。

今が戦時である事を忘れる位に、思いの外、笑えるシーンも多かった。

ただそれだけに、それを奪っていく戦争の酷さも強く感じられた。