エヴェレスト神々の山嶺

「貧乏人は有名にならなきゃ駄目だ。」

「お前は何の為に生きている。山をやらないなら、死んでるのも同じだ。」

「あの人は山屋だ。他の生き方なんか出来っこない。」

「生きて帰れなかった奴が頂上に着いたかどうかはどうでもいい。死んだらゴミだ。」

「そこに山があるから。それは違う。

ここに俺がいるから、山に登るんだ。」

「俺を撮れ。俺が逃げ出さないように。」

「足が動かなくなったら、手で歩け。手が動かなくなったら、指で行け。

指が動かなくなったら、歯で雪を噛みながら行け。歯がダメになったら、目で睨みながら行け。

目もダメになったら、本当にダメになったら、思え。ありったけの心で、想え。」


山で起こった事は、山に登った者にしか分からない。

登っていない人間が批判をする資格もなければ、

登った人間が言い訳をする意味もない。

突き詰めれば、山の真実は山でしか分からない。

何故、山に登るのか。

山を知る人間であればあるほど、この問いをしなくなるのだろう。

自分の危険は省みず、他者を救いに行く場面というのは、

やはり胸を熱くさせられるものだ。