この国の空

「焼けたっていいわよね。よかないけど、仕方ないわね。」

「人間は焼く価値があるんじゃないか。」

「戦地では誰だって戦友になる。でないと、生きていけないから。」

「気を許して損をするのはいつも女。女は溺れやすいから。」

「女の人には何をやっていても美しく見える時期があるですね。」


戦争というある種閉ざされた過酷な状況では、より人間関係が濃密になっていく。

そして親族、身内ですら憎悪の対象になっていく様子が生々しく描かれていた。

またその鬱屈した中で、徐々に男女が惹かれていく。

それはやはり喜びであり、戦争だから無くなるものではない。

戦争が終わってから、戦争が始まる。

これもまた、戦争の持つリアルな一面でもあるのだろう。