思い出のマーニー

「この世には、目に見えない魔法の輪がある。

輪には内側と外側があって、私は外側の人間。

でもそんなのはどうでもいいの。私は私が嫌い。」

「そんな事をしても無駄よ。

あなたはあなたの通りにしか見えてないんだから。」


自分の事を肯定出来ず、自分の事が嫌い。

人にそう思わせる要因があるとすれば、

それは、自分が何者なのか、自分の正体がわからないという事があるのだろう。

その不安定さが自己否定へと繋がる。

自分が何者なのかを知る事で、

人は前を向く事が出来るのだろう。

「あなたのことが大すき。」

自分の事を好きになれない人間にとって、

そう言ってくれる存在がいる事がどれだけの救いになることか。

それがたとえ夢でも妄想でも。


正直、いかなる作品であっても、

わかり切った「夢オチ」に付き合わされる事ほど辛いものはない。

中盤、意味の不明な展開には苛立ちも感じた。

これが単なる現実逃避の妄想であるならたまらない。

ただ最終的に謎が解け、まとまっていくのに救われた。

意味を知った上で見返せば、より深く味わえるだろう。