永遠の0

「どんなに苦しくても、生き延びる努力をしろ。」

「特攻隊員の苦しみは、特攻隊員にしかわからない。」

「生き残った者の務めは、死んでいった者の遺志を無駄にしないことだ。

物語を続けていくことだ。」


決して愛国主義者というわけではない。

特攻の存在を初めて知ったわけでもない。

それでも「宮部久蔵」を見る度に涙が零れた。

一体なぜ涙が出てくるのか。

あの穏やかな雰囲気。

礼儀正しい言葉使い。

宮部の存在が、およそ戦争とは似つかわしくないからこその涙だった様に思う。

もし宮部が国家に盲信し、死ぬことに何の疑問も抱かない人間だったとしたら、

たとえ国家の為に犠牲になったのだとしても、涙が流れたかはわからない。

彼は決して死にたくはなかった。

誰よりも生きようとした。

そんな人間が自ら死なねばならない。

「死」を否定する人間さえも、自ら「死」に向かわなくてはならないということが、

戦争という悲劇にほかならない。

愛国主義」などとは次元を別にした、

人間ドラマとして心打たれた。