終戦のエンペラー

「日本国民の怒りは爆発寸前に達している。

引き金は天皇の処遇だ。」

「日本人は白黒をはっきりつけない。大部分は灰色だ。」

日本兵天皇に仕えている。

その点で、日本兵は米兵より優れている。」

「『信捧』が理解出来れば、日本人が理解出来る。」

天皇を無罪にする証拠はないが、有罪にする理由もない。」

アメリカ人にとって日本人とは、実に不可解で謎めいた国民だったに違いない。

「日本人にとって天皇とは何か?」

それを理解するには相当な困難があったことだろう。

まして本国の国民が天皇の処分を望んでいる中で、

天皇を生かす道を選んだということは、改めてすごい決断をしたものだ。

マッカーサーは自身の利益を計算して判断したのかも知れないが、

日本人の立場に立って考えようとしたフェラーズ准将には胸を熱くする。

天皇を信棒する事と、天皇を利用する事は違う。

戦争に至る日本の暴走は、「信棒」の言葉を装った明らかな天皇の「利用」に違いない。

恐らく天皇が明確に戦争の指示をしたことはなかっただろう。

それでも、全責任を自ら背負い、国民を守ろうとした姿には、素直に心打たれた。


それにしても、よくぞアメリカ人の手で、この映画を作ってくれたと思う。

本来なら、もっと日本人自身が天皇を語り、考えるべきだろう。

天皇を語る事をタブー視し、その存在をベールに包んでいれば、

いつまた、あらぬ方向に天皇が「利用」されてしまうかわからない。