北のカナリアたち

「みんなあなたが好きだから。」

これほど人に生きる希望を与える言葉はあるだろうか。

過酷な境遇を背負い、孤独に苛まれながら生きていく。

その中でも、自分の事を大切に思い、好きだと言ってくれる人がいる。

そのことがどれだけ生きる支えになることか。


「生きるということ」

「人を好きになるということ」

その意味を強烈に突き付けられた。

人を本当に好きになるということは、

まさに「どうしようもなくなる」ことなのだろう。

理屈では説明がつかないこともある。

それ故の過ちを全て認める事は出来なくても、

全てを否定する事も出来ない。


原作がいいのか、脚本がいいのか、ストーリーも実に良く出来ている。

分校の生徒一人一人のエピソードが巧みに繋がり合い、

徐々に謎を秘めた核心へと迫っていく。

それだけにラストのシーンには鳥肌が立った。


今年ナンバーワンに十分なり得る作品だった。

まずアカデミー賞は獲るだろう。

それにしても、吉永小百合はいつまで綺麗でいるつもりなのだろう。


「明日世界が滅びようとも、今日人はりんごの木を植える。」