アウトレイジビヨンド

「罵倒」というのは、

まさに映画における両刃の剣だろう。

役者の力量が丸裸になる。

下手をすれば、もの凄く陳腐に映るが、

巧みな罵倒は、むしろ心地良くすらある。

中でも、西田さんと中野さんの肝の据わった演技は、まさにホンモノの域だ。

さらに、北野作品ならではの引き算の演出。

あるべき「間」がない。

するべき「音」がしない。

そんな良き裏切りの繰り返しの中で、いつの間にか作品の世界に陶酔していく。

命のやり取りに、つまらぬ躊躇や葛藤は、

その場を澱ませるだけということか。

まさに溜飲の下がるある種爽快な作品だった。