麒麟の翼

「この世に殺されて当然の人間なんていない」

「死んだ人間のメッセージを、生きてる人間は受け取る義務がある」



様々な登場人物が現れ、複雑さを増す中で、

次第に一つの真相に向かって、物語が集束していく。

物語の持つダイナミズムを存分に味わえた。

なぜその場所が「日本橋」だったのか?

「翼を持った麒麟像」は何を意味しているのか?

そこに、他では代え難い必然性を見出だせた時、

まさに、この作品の魅力が全開した。

死者は口を持たない。

だからこそ、刑事は死者の言葉を聞き出さなくてはならない。

「事件」という舞台の上で、

「刑事」という人間の目線で、

解決という結末以上に、

人間の持つ大切なものを照らし出す。

エンターテイメントでこれをやられるから堪らない。

想像以上に良かった。

十分ランクイン候補。



「世の中を甘く見ているなら安心だ。

光が見えずに絶望しているよりは。」