一命

武士を武士たらしめている最大の拠り所は、

そこに「切腹」があるからだと聞く。

切腹があるが故に、

農民町人に対して、特権的に振る舞うことが出来る。

面目の為に腹を斬る覚悟を失った者は、もはや武士ではない。

武士とは、なんと凄絶な生き方だろう。




終始場内を覆う張り詰めた空気。

見る側も身の引き締まる感覚を味わった。

悔しいかな、海老蔵は絵になる。

据わりがいい。

一つ一つの所作、声のトーン。

多数を相手にしても引けを取らない迫力がある。

時代劇として、実に気持ちのいい作品だった。