阪急電車 片道15分の奇跡

毎日が同じことの繰り返し。

同じ時間に、同じ駅に行き、同じホームに立って、同じ電車に乗る。

そこには、何の出会いもなければ、何のドラマも起こらない。

その途中には、ものすごい数の人が目に映っているはずなのに、

ほとんどの人が記憶の中まで入ることなく、消えていく。

結局、自分は自分で、他人は他人。

見ず知らずの他人は、自分の人生に何の影響も与えないし、

自分は、見ず知らずの他人に何の影響も与えない。

そうやって日々は、滞りなく過ぎていく。

そんな日常に閉塞感を感じている原因があるとしたら、

それはこの思い込みなのかも知れない。

通り過ぎて行く人々、記号のように見える人々、

そんな全ての人たちが、それぞれにそれぞれの思いを抱えながら生きている。

無数にすれ違う日々の中で、少しでもその思い同士が触れ合うことがあれば、

そこに何らかのドラマが起こっても決して不思議ではない。



阪急電車」という限られた空間の中で、

様々な思いがふとしたきっかけで触れ合っていく。

切なくなったり、イライラしたりする場面も、全てが効果的に繋がり、

最後には、「何か、いいな」とつぶやきたくなる。

やっぱり見ておいて良かった。