岳―ガク―

一歩間違えれば命を落とす。

それでも人は山に登る。

「山」とは一体何だろうか?

おそらく、本当の意味でのその答えは、登った者にしかわからないだろう。


山に限らず、玄人が素人を見る目というのは、自ずと似通ってくるものだ。

しかし三歩は違う。

どんなに無謀で、身勝手な登山者であっても、

決して見下すこともせず、拒絶もしない。

そこには、「山が好き」という一点において、確かな繋がりがあるから。

「僕の好きな山を好きでいてくれてありがとう」

そんな思いが彼の中にあるんだろう。

屈託なく、どこまでも真っ直ぐな三歩は、見ていて清々しい。

そこまで好きになれるものがあるということは、きっと幸せなことだ。