でいごの花の下に

「もし、編集長が好きになった女性が殺人の前科を持っていたらどうします。

すぐに別れますか、それともそんなことは関係ないといってそのままつきあいますか？」


「そうだな。もし俺が十代の若者ならそのままつきあうし、

四十代の壮年だったら別れるだろうなあ。」


「二段構えですか」


「そうだ。ちなみにいえば、どちらの行動が美しいかというと十代で、

四十代の選択は賢いといったところだな。」


―――『でいごの花の下に』Ｐ１５６

「美しい選択」と「賢い選択」

どちらが正しいかは、わからない。

「美しい選択」ではなく、「賢い選択」をするようになった時、

人は「大人」になったと言うのだろうか。

年を重ねるとは、「賢い選択」と選ぶということなのかも知れない。

重く、痛く、それでいて温かい作品でした。