ぐるりのこと
みんなの好かれるより 好きな人にいっぱい好かれる方がいい
強と弱、急と緩、公と私…
あらゆるものが二極化して肥大化していく現代社会。
その狭間で一生懸命バランスを保ちながら生きていかなければならない人間の
痛々しくもけな気な様子が見事に描かれていた。
「ちゃんとしなきゃ」
その言葉を背負い続けることで、
どんどん追い詰められていく主人公の精神の機微が
様々なシチュエーションを通じて
強烈な共感とともに伝わってきた。
さらに夫が法廷画家という仕事に携わっていることで
そこから漂う「社会のにおい」も見事だった。
裁判所には、本当にその時代の縮図があるような気がした。
そして、千切れそうな心の糸をつなぎとめてくれるのは
やっぱり一番そばにいてくれる人なんだろう。
自分ひとりで感情をコントロールして…
自分は大丈夫だと言い聞かせて…
一人でがんばっている自分を自分で応援しながら…
でも、もしそばに誰かいてくれたら
もっと楽に生きられるような気がした。
書籍のベストセラーに
「効率的な儲け方マニュアル」と「欝への対処法」が並列し、
そのトップに「血液型に居場所を求める」本が君臨する時代。
今の時代、確実にどこか病んでいる。
その中で見るこうした映画は、やっぱり救いになる。