今年のM-1

サンドイッチマン優勝おめでとう!


まずは、心からそう言いたい。

決まって、こんなにうれしい気持ちになったのは、今回が一番かも知れない。


正直に言う。

心底期待していた、「腹の捩れる笑い」はなかった。

もし、可能性としてあったとしたら、キングコングだっただろうと思う。

やはり、あのテンポと勢いはM-1には向いている。

はっきり言って、上手かった。

あんなに上手いザ・漫才を久しぶりに見た気がした。

もし、キングコングの事を嫌いじゃなかったら、

もし、キングコングがメジャーでなかったら、

今回の印象は、また違ったものになったかも知れない。


そして、トータルテンボス

うれしかった。

もちろん面白いけれど、それよりもうれしかった。

こうなってくると、もう好みの問題になってくるけど、

トータルテンボスは、思いっきり好きな笑いだ。

それが、ちゃんと評価された事がうれしい。

ただ残念なのは、“衝撃”の物足りなさ。

もう面白いのは分かっている。

安心できる反面、ハードルが上がってしまう。

“常連”という響きはことM-1においては、

マイナスに働く事こそあれ、プラスに働くことはない。


そんな意味で言えば今回、

笑い飯インパクトが底をついたのがはっきりした。

もし、笑い飯が本気で優勝を狙うのなら、

数年休んで、ラストの10年目しかチャンスはないだろう。


他の組についても、爆発はなかった。

瞬間的なつぼはいくつもあったけれど。

ハリセンボンの「天狗しか入ってこない」にしろ、

ダイアンの「もらいすぎてる」にしろ、

世の評価はどうあれ、好きだった。


そんな事より、サンドイッチマン

やったな。やっちゃったな。

敗者復活が決まった時、やったと叫んだ。

トップで決勝進出が決まった時、自然と拳を突き上げていた。

もはやカスしか出ていないようなエンタの神様の中で、

希少でありながら、かなり笑わせてもらっていたのが彼らだった。

初めてネタを見た瞬間、

まさに現代によみがえったバカルディのような印象を受けた。

勢いなり、ノリなり、迎合なんかじゃなく、

ちゃんとネタを作っているというのが感じられて、

東京03と並んで見る価値があったと思う。


とにかく、華はないけどしっかりと面白い。

今回、選ばれるべくして選ばれたとは思うけど、

チュートみたいになれるのかと思ったり、

あんまりメジャーになって欲しくないと思ったり、

ガッツポーズのあとちょっといろんな思いに駆られた。


それにしても、キングコングをちょっと見直した人は、

結構いたのでは?

嫌いと言い切ってしまうにはもったいないような気がした。