この道

「美しいものには触れたくなる。」

「色が匂う。」

「彼の詩にはリズムがある。彼の詩は生きている。」

「僕はどうしようもなく湧いてくる言葉をただ書き留めているだけだ。」

「守ろうとすればするほど、壊れていくものよ。」

「詩や短歌ではこの瓦礫の中から街を建て直す事は出来ない。」

「引き受けたよ。音楽で生きていく為にね。」

「僕は軍の御用詩人じゃない。国民の詩人だ。」

「この道は何処でもいい。

大人はこれまで来た道を思い出し、子供はこれから行く道を思い浮かべてくれれば。」


ピチピチ、チャプチャプ、ランラン。

たったこれだけの言葉がどれだけ人の心に強い印象を与え、

時を越えて残っていく事か。

生死の懸かる状況では確かに詩や歌などは無力なのかも知れない。

それでも歌には人に勇気を与える力がある。

力があるが故に戦時において戦意高揚の為に利用されたというのは何とも皮肉なものだ。

歌の力が良い方に向かう時代は何よりも尊い

言っている事自体は悪くない。

ただ物語にしろ人物にしろ薄く感じられたのは残念だった。