ユリゴコロ

「自分で自分を切るのも一種のオナニーよ。」

「切っていないと、わけが分からなくなる。

切っている時だけが、全てを忘れられる。」

「職場には人との関わる事から逃れる自由はありません。」

「この子は君に与えられたんだ。」

「あなたの優しさには容赦がありませんでした。」


「死」を拠り所として来た人間が、初めて人の優しさに触れた時の戸惑いと喜び。

ずっと自己否定をして来た人間は、周囲の冷たさには強くとも、温かさには弱い。

自分に幸せを与えてくれた人の幸せを奪ったのが自分だと知った時の衝撃。

互いに相手を思うが故の葛藤。

それまでバラバラだった登場人物の関係性が、

最終的に見事に結び付いていくのは、物語としての気持ち良さがあった。