追憶の森

「死にたくない。でも、生きたくなかった。」

「お互いの心を隠した。優しさまで隠した。」

「ここはただの森じゃない。アメリカ人の言う煉獄だ。」

「漆黒の闇に紛れて、愛する人はそばにいる。たとえ死んでいても。」


死ぬために訪れた森で、生を見つける。

死の間際に立つ事で、必死に生きようとする。

樹海とは、まさに煉獄であり、ただの森ではない。

理想の死に場所と言われるだけに、夥しい霊魂が彷徨っている。

樹海の放つ独特な空気があるのだろう。

「死にたい」と「生きたくない」とは、同じ様で微妙に違う。