エベレスト3D

「人間は旅客機と同じ高さで動くようにはできていない。

常に死と隣り合わせだ。エベレストは完全に獣だ。」

「問題は、生きて頂上に行き、帰ってくる事だ。」

「人間同士が競い合う必要はない。競い合うのは、一人一人とこの山だ。

どちらが勝つかは、常に山が決める。」

「頂上からは見たことも無い景色が見える。見ないのは罪だ。」

「あと数時間苦しめば、エベレストを征した男と一生呼ばれる。」


何故山に登るのか。

その問いへの答えは、もはや理屈を超えた所にあるのだろう。

ただそれが冷静な判断を誤らせ得る。

進むか、退くか。

極限の状況の中で、究極の決断を迫られる。

あと一息の所で撤退する勇気を持ち得るか否かが、生死を分ける。

もしこれがフィクションであるなら、奇跡の生還が起き、めでたしとする事も出来る。

ただ現実はそうはいかない。

絶望的な状況では、やはり絶望的な結果になる。

この潔い無慈悲さが、ある意味ノンフィクションの醍醐味でもある。

それ故に、ラストの生還には驚かされた。

生死のかかった緊迫の映像に、いつしか画面にくぎづけになっていた。