サンバ

「自分が誰か忘れそうだ。」

「忘れそうなら名前を叫んで。そうすれば皆が踊り出すわ。」


街では冷たい好奇の目に晒され、

日々強制退去の恐怖に怯える。

その日を生きる金を手にするために、毎日仕事の募集に列を為す。

フランスで移民の置かれた苛酷な状況を見た。

その中で笑顔になれる事は尊いが、現実は厳しい。

生きる為に自分自身を偽り続けるうちに、自分が誰だかわからなくなる。

ラストの台詞が重たく感じた。


奇しくもこの様な社会情勢。

失いかけたアイデンティティの拠り所が「信仰」になっても不思議ではない。

それを面白おかしく揶揄されたとしたら…。

現実をイメージするのに役立つ作品でもあった。