小野寺の弟・小野寺の姉

「幸せの定義なんて無いからな。」

「間違った優しさは、相手を傷つけてしまう事もある。」


相手にとって何が幸せか。

どんなに相手の事を思ってみても、一人で推し量るのは難しい。

大切な人であればあるほど、自分だけが幸せになる事を後ろめたく思う。

自分の幸せが、相手の幸せでもあるという事にはなかなか気付けないものだ。

兄弟でもなく、姉妹でもない。

姉弟という一つ捻った関係性が生み出す空気感が良かった。

とりわけ「歯」を巡るがエピソード。

自分のせいで傷ついたと負い目を感じる弟と、直す事で弟を責めてしまうと気遣う姉。

互いに言い合わなくても、それぞれの思いやりが伝わってきた。

細かな伏線が随所に張られ、それが巧みに着地する度に温かい気持ちにさせられた。