渇き。

「僕がギリ人間でいられるのは、君がいるからだ。」

「加奈子は、相手の言って欲しい事を言って、最後はめちゃくちゃにする。」

「あなたにはわからない。ここ(心)もここ(頭)もからっぽだから。」

「あいつは俺だ。俺がぶっ殺す。」


やみくもに人を惹き付け、そしてめちゃくちゃにしていく。

そこにブレーキが効かないのは、理性も良心も存在しないが故だ。

悪魔を自認するより、天使を偽装するより恐ろしいのは、無から発せられる狂気だろう。

役者陣の突き抜けた狂いっぷりには、鬼気迫るものがあり、引き込まれた。

もっと意味が分からず、煙に巻かれるかと思っていたが、

「娘を追う」という筋が一本通っており、迷わずには見られた。

ただ筋よりも、ひたすら狂気に酔うのが正しい見方かもしれない。