天地明察

人は自分の好きな事に没頭している時、

自ずとその瞳は光り輝く。

そしてそれが「大命」へと変わった時、

その光に「強さ」と「深さ」が宿る。


「暦」と一口に言っても、その実体はかなり奥が深い。

生活のあらゆる場面に関係しているが故に、

「暦」を支配している事が、則ち権力の象徴になる。

「改暦」という行為が、

これ程までに壮大さと痛快さを持って迫ってくるのも、

それが天を相手取った真剣勝負であると同時に、

既存権力への大いなる挑戦だからだ。

それは、単なる学問的研究を超えた勇気と覚悟を要したことだろう。

まさに時代劇における刀を持たない真剣勝負を見た。


これは原作に対する感想になるが、

単なるエンターテイメントに留まらない

仔細な歴史考証も作品に大きな深みを与えている。