アントキノイノチ

「人は死ぬときは一人だ。だから、生きているうちはつながっていたい。」


「関係なくないだろ!」

そう叫ぶシーンが妙に印象に残った。

人にはおそらく二つの感情がある。

誰にもとやかく言われたくない。

そして、誰かにとやかく言って欲しい。

そのどちらが本心で、どちらが正しいかということではない。

そのどちらもあるのが人間だ。

人を殺そうとしているのに誰も何も言わない。

普通に考えればおかしいことが、

おかしく感じられないとしたら、その方が余程おかしい。


人は生きている限り、誰かしらとつながっている。

途中にいる時は気がつかないその関係性も、

失った時にはじめて「つながっていたんだ」と気付くものなのかもしれない。



「生きるってことは恥ずかしいことだ。

いい部分もあれば悪い部分もある。

そのいい部分だけを残して掃除をする。

そして、死んだ人の面子を守ることが俺達の仕事だ。」


見ず知らずの人間の持ち物は、他人にはその価値がわからない。

それでも、そうやって心を寄せてくれる人がいるというのは、

なんだか救われる思いがする。