「原発」とは何だ?

「人の顔に目が2つ付いているのは何のためか?」

こんなことを書くと、どうかしたのかと思われるかも知れないが、

その答えは、「対象を立体的に見るため」と言えるだろう。

この考え方は、「情報」についても言える。

あることについて知りたいと思った時、

一方向から見ていたのでは、そのものの実像が見えてこないことが多い。

あらゆる方向から光を当てることで、ようやくその輪郭が見えてくる。


今日、原発に関する一冊の本を読み始めた。

鎌田慧著『原発列島を行く』(集英社新書

これは2001年に出版された本なのだが、書き出しから衝撃的だった。

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いまのわたしの最大の関心事は、
大事故が発生する前に、日本が原発から撤退を完了しているかどうか。
つまり、すべての原発が休止するまでに、大事故に遭わないですむかどうかである。
大事故が発生してから、やはり原発はやめよう、というのでは、
あたかも二度も原爆を落とされてから、ようやく敗戦を認めたのと同じ最悪の選択である。

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この本には、日本各地に点在する原発を訪ねた著者による

歴史的経緯を踏まえた現場の姿が生々しく描かれている。

最初の話ではないが、単純に「原発」と言っても、

その光の当て方によって、その表情は大きく異なる。

原発のメリットを探そうと思えば、それこそ無数に出てくるだろう。

低コスト、燃料のリサイクル、温暖化防止、そして経済効果…

ただ世の中、そんな夢のような話がそうそうあるわけではない。

光あるところに、必ず影がある。

誰かが甘い汁を吸っていれば、必ず誰かが苦い汁を飲まされているはずだ。

原発推進論者はきっと言う。

原発を廃止して、電気が無くなってもいいんですか?」

今必要なのは、その言葉に闇雲に反対すればいいと言う問題ではなく、

そうやって迫られた時に、正しい判断が下せるよう事実を正確に把握しておくことだ。


原発は本当に必要なのか?

それは誰かの命と引き換えにしてまでも必要なものなのか?

改めてこの機会に考えてみたいと思う。