【プロローグ】

【プロローグ】

 正直、私とマンモスとは人様に紹介できるほどの親しき間柄ではない。しかし、その出逢いは古く、私が小学生時代に読んだ本に始まる。まんが化石動物記(理論社)の第7・8巻である。それまで恐竜に強く興味を持っていた私にとってこれは衝撃だった。結局化石でしかない恐竜に対して、タイムカプセルのように時間を超えた「こおりづけのマンモス」の存在は、恐竜にも引けを取らない魅力を私に与えてくれた。しかし、それはあくまで夢、憧れ。過去への浪漫に踏み込む勇気もないまま現実に囚われ今に至ってしまった。
だからこそテレビでこの企画を目にした時、すぐさま「これだ!」と思った。あまりにも無知ではまずいので、早速図書館へ行き関連する本に数冊目を通した。御社発行の『マンモスへの旅』も読んだ。そして、このプロジェクトの持つ意義を知り、立ちはだかる困難を知り、そして何より関係する人々の情熱を感じた。もし、これが成功したならば様々な実益をもたらすであろう。ただ、それ以上に純粋な夢がある。誰もが夢に飢えながらも、夢を見るのが困難なこの時代にこれほどまでに壮大な夢が見られる事の意義はことのほか大きい。
もし、このプロジェクト参加に際して、専門的な知識や経験が必要だとしたら、残念ながら私は羨望の眼差しを持った一傍観者となるしかなかったであろう。しかし、幸運にも素人である私にもチャンスがあるではないか。もし出来る事ならば、世紀の発見の目撃者に私はなりたい。

書類選考 課題作文テーマ 『私とマンモス』より

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