早く起きた朝に…
今朝、早く起きた。
いや、早く起きてしまった。
起きようとして起きたんじゃなく、目が覚めたら朝早かった。
「このままじゃ、昼間眠くなる」
慌てて布団に入り、二度寝をしようとした。
でも、これじゃ、いつもと一緒だ。せっかく、起きたんだし…
僕は、布団から出て、一冊の本を持って、少し外を歩くことにした。
コンビニで、缶コーヒーとサンドイッチを買い、公園のベンチに腰を下ろす。
朝には、朝にしかない「色」がある。
それはいつもの街の風景であり、別に初めて見るものじゃない。
ただ一つ、その特徴を言うとすれば、
「鮮やか」ということだ。
朝日に照らされ、目に映るその色は、
コントラストがはっきりしていて、とても鮮やかだった。
色と一緒に、朝にしかない「音」もある。
人工的な音が少ない分、自然の音がよく聞こえる。
座っているベンチの上の木から、まさに「けたたましい」音が耳に入った。
一切手を抜いていない、まさに全力で鳴いている。
「何をこんな朝っぱらから、そんなにムキになって頑張ってるんだ」
ただ、思う。
セミは、誰かに鳴けと言われたから鳴いているわけじゃない。
早朝。
変な話。誰が見ているわけでもない。ごまかそうとすれば出来る。
それなのに、すでにトップスピードで鳴いている。
「鳴きたい。鳴けるのが嬉しくてたまらない。」
きっと、セミはだからこそ鳴いている。
頭の上のやかましい音色を聞きながら、そんなことを思った。
しばらくして、公園を後にした。
その時、何となく目に付いたゴミを拾っていった。
ただ何となく、少しだけ。